1979年にカシオから発売された CASIO 50QS-17 です。
ボタンは前面に3つ配置されていますが、真ん中のボタンが中央より若干左に寄っており、世界初の6ケタ表示のデジタル腕時計「SEIKO 06LC」を意識したデザインのように見えます。
このモデルの魅力は、他のデジタル腕時計には見られない、いくつかの独特すぎる特徴を持っていることです。
本モデルの独特すぎる点について、順に紹介していきたいと思います。

特徴その１：4ケタ表示のストップウォッチ
本モデルは、時刻表示時は「時時：分分」の４ケタ表示ですが、ストップウォッチモード時は「分分：秒秒」の４ケタ表示となります。
秒未満の計測は？　→　そんな機能はありません。
以前ご紹介した SEIKO A129 は1/10秒計測のストップウォッチ機能でしたが、本モデルは「１秒単位」のストップウォッチです。
「それはストップウォッチではなく単なる秒表示では？」と思った方もおられるかもしれませんが、本モデルの秒表示は CASIOTRON 03-502 と同じく、時刻表示の上のゲージが点滅しながら10秒ごとに１コマ進んでいくタイプであり、秒の経過がリアルタイムに把握できるのはストップウォッチモードの時のみです。

なお、右端（「SA」位置の下）の「＋」表示は、ストップウォッチモードと「PM」インジケーターを兼用しています。
ちなみに「午後0時00分」は「12:00」と表示されるので、上の写真のストップウォッチモード時の状態と一応区別できるようになってます。
（あと、時刻表示時は曜日インジケーターも点灯します）

特徴その２：独特すぎる操作方法（時刻合わせ方法）
まずは下の資料（デジタル時計操作早わかりの手引'80）をご覧ください。

本モデルは時刻合わせモードに入るために左右のボタンを同時に最大「18秒」押し続ける必要があるんです。
みなさんはデジタル腕時計の複数のボタンを同時に18秒も押し続けたことがあるでしょうか？
取扱説明書か上記の本が無ければ、この操作方法を自力で見つけるのはほぼ不可能かと思います。
先に進むために「コントローラーを何も操作せず1時間放置する」必要があるファミコンの某有名ゲームを思わず思い出してしまいました。
取説の付いていない状態で本モデルを手に入れた一人でも多くの方が、このページを見つけられることを心から願っています。

【追記】本ページの一番下に、本モデル以外で同様の操作方法（時刻合わせ方法）が必要なモデルをまとめました。

特徴その３：謎のデザインへのこだわり
本モデル、「SEIKO 06LC」を意識したボタン配置だけでなく、本体と裏蓋の間に黒いプラスチックの部品が挟まっていたり、真ん中のボタン（ライト）だけ両側のボタンより少しだけ背が低かったりと、随所にデザイン上？機能上？のこだわりが見られます。
きっとカシオの開発陣が真面目に作った結果だと思うので、「謎のこだわり」とかいうと怒られてしまうかもしれません。

本モデルは、まだデジタル腕時計の標準的な「デザイン」「操作の作法」が定まっていなかった時代に、新しいことを何でも積極的に取り入れてみよう、という実験的な位置づけだったのかもしれません。
いずれにせよ、カシオの初期デジタル腕時計の勢いが感じられる本モデルは、お気に入りの一本です。

【追記】
本モデルと同様、時刻合わせのために２つのボタンを長押しし続ける必要のあるモデルをまとめました。
本ページをご覧になり、一本でも多くのオールドカシオが使えるようになることを願っています。
・27CGLシリーズ（27CGL-11、27CGL-14、27CGL-16）
・27CLシリーズ（27CL-10、27CL-11等）
・29CS-11
・31シリーズ（31CGR-14、31CGS-10、31CS-10、31QR-11、31QS-12等）
・35QR-23
・53シリーズ（53CS-18、53CGS-18等）